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2018年1月9日

結局どの医療保険を選べばよいのか(HSAのあるプラン)

以前に「アメリカの医療保険制度」というエントリーで、PPOやHMO(EPO)について説明しましたが、結局どの保険を選べば良いのかという話です。当然それぞれの人の状況によって最善の選択は違うので「私はこれを選んだ」という話です。

Health Investment Plan

結論としては、私は数年前からPPOでもEPOでもないプランを選択しており、これに非常に満足しています。色々検討したのですがここを担当している人の「弊社社員の9●%以上はこのプランで一番得をする」という分析を聞いてこれにしました。

某社に勤めている人は「〜HIP」と呼ばれているプランがそれです。他の会社でも似た様な名称のプランがあるのではないでしょうか。HIPは、Health Investment Planの略で、一般的にHigh-Deductible Health Plan (HDHP)とかConsumer Driven Health Planとも呼ばれる保険の分類に入るはずです。

これは基本的には「保険料は安めで、毎回の支払いは少し高い」という考えかたのものなのですが、以下の特徴があります(以下は某社のHIPプランにのみあて当てはまる話を含んでいます)。
  • PPO同様、In-network、Out-of-networkどちらの医療機関にもかかれる(EPOはIn-networkの医療機関のみ)
  • HSA(Health Savings Account)を持つ事ができ、そこに会社が毎年ある程度の資金を入れてくれる(後述)。
  • 自腹で払う医療費は、以下の通り。下に簡素化したイメージのグラフを載せます。
    • 予防的な診療は無料。
    • Deductibleがある。つまり毎年一定額まではまず自分で支払う。ただしHSAへのサポートでその金額はカバーされている。
    • Deductibleに達すると保険から補助が出るが自分でも支払う(Coinsurance)。
    • その年の自腹の上限が決まっているので、高額な医療費で破産することもないはず。
先日子供が頭を打って念のため1日入院した際の医療費が2000ドルを超えていたのですが、結局そのくらいならば、年間を通すと自腹はないというわけです。

HSAについて

この保険プランだとHSA(Health Savings Account)という口座を持つことになるのですが、これがとても良いです。PPOやEPOにはFSA(Medical Flexible Spending Account)という似た口座があるのですが、HSAの方が有利です。
  • 医療費や医薬品代をこの口座から支払う事ができる。クレジットカードが渡され、これでも支払えるので楽です。
  • 会社が毎年ある程度の資金を入れてくれる。
  • 税引き前給与からこの口座にお金を追加する事ができるため、所得税の節税ができる。節税する関して、401KとHSAは重要なお得ポイントです。
  • 年末に口座に残っても、そのまま保持される(これがPPO/EPOのFSAと大きく違うところ)。資産として運用することもできる。
気になるのは、将来日本に引っ越した時にどうなるかという点ですが、米国外の医療機関でかかった医療費もHSAで支払えると言われています。ですので、クレジットカードや銀行口座の問題がなければ、HSAに残った資金を帰国後も使えるはずです。

2015年3月6日

アメリカの医療保険で、一時帰国中の緊急医療費をカバーする話

アメリカに住んでいる人が、一時帰国中に病院に行く場合のための医療保険はどうなるか、という話がよく出てきます。

日本の住民票は抜いて来ている場合には、それを戻して、その間だけ日本の国民健康保険に入るとか、それは役所によっては断られるとかという話は、よくインターネット上にあります。

では、一番正攻法に、アメリカで現在加入している医療保険を、一時帰国中に使うことはできないのかという話です。


実際には、アメリカの医療保険には「アメリカ国外への旅行中の緊急時の医療補償」が付いている場合が多いようです。例えば、とある PPO 保険の場合には、以下の様になっています。

  • まずは自分で立て替える。
  • $600 までは自腹(deductible)。
  • それ以上は 70% を保険会社が払ってくれる(30%自腹)。

個人的にはこれで十分な気がしました。日本で国民健康保険に加入できるとしても、
  • 使った使わないにかかわらず、保険料を払う必要がある。
  • 加入やその後の脱退の手続きなどの手間がかかる。
わけで、緊急時の数万円の自腹は構わないかなと思うわけです。$600 まで自腹というのが、嫌だとも思いますが、保険の請求手続きというのは、どこの国でも、どの言語でも、なんだか面倒くさいものなので、大した金額でなければ、請求さえしないということも考えられます。

なお、この話は、一時帰国の場合だけでなく、アメリカ国外への旅行の際にもあてはまります。

2014年7月17日

ピッツバーグ医療戦争に関する同意判決

以前に紹介した「UPMC vs Highmark ピッツバーグ医療戦争」に展開がありました。

おさらい:下の両者が対立して、契約を更新するしないという話になっており、加入者は来年以降 UPMC で医療を受けられるか不安になっている。
  • UPMC(ピッツバーグ大学医療センター):世界有数の医療機関でピッツバーグ地域のほとんど全ての医療機関がこの傘下という独占的支配的な非営利組織。独自の医療保険もはじめた。 
  • Highmark(ハイマーク): ペンシルバニア州最大の大手医療保険の会社。UPMC への不満から、対抗する医療機関を作ろうと、医療グループ Allegheny Health Network facilities を買収し、UPMC から医師を引抜いている。

同意判決

UPMCとHighmarkの間での契約は、2014年末をもって更新されず、期限が切れる事になりました。しかしこれに関し、2014年6月27日に 5年間の同意判決が発表されました。Highmark 加入者の多くは 2015年1月以降UPMCの医療施設においてin-networkの低価格な医療を受けられなくなるものの、いきなり全てが打ち切られるのではなく、この同意判決による移行措置が設けられます。

UPMC で治療を受けられないとなると、Highmark の加入者の中には、他の保険に乗り換える人がたくさん出てくると思われます。UPMC も独自の医療保険を持っていますし、それ以外の大手の医療保険、例えば、Aetna(アテナ)、Cigna(シグナ)や United(ユナイテッド)は、これまでの Highmark の様に、UPMC と Allegheny Health Network facilities の両方で in-network として受け入れらます。

Highmark としては、この移行措置のお陰で、いきなり加入者へのサービスが打ち切られるわけではない事で。少し胸をなでおろしたところです。胸を撫で下ろすのは、振り回されている加入者ですが。

さて、その移行措置の内容は以下のとおりです。UPMC が細かく「ただし」のコメントを発表しており、両者に解釈の相違が見られます。

移行に関する合意

  1. 現在 UPMC で治療を受けている人は、来年(2015年)中もその治療が受けられる。 
    • ただし、Highmark が医師の治療方針に異議を唱えない場合のみ。 
  2. ER(緊急処置)については、UPMC のすべての施設が in-network の低料金で受け入れる。 
    • ただし、in-network の医療機関に転院するまでの間のみ。 
  3. 癌を患った際には、治るまで UPMC で治療が受けられる。 
    • ただし、患者の主治医が「他の医療機関ではなく UPMC の癌専門医による治療が必要」と判断した場合のみ。 
  4. 代替となる医療施設がない全ての人が UPMC で治療を受けられるように、2015 年中はセイフティーネットを提供する。 
    • UPMC いわく、この対象となる人はかなり少ないはず。 
  5. 65 歳以上の人、メディケア(高齢者向け公的医療制度)、メディケイド(低所得者向け公的医療制度)の加入者は、引き続き UPMC で治療が受けられる。 

正確なところは?

この通り、合意文書についての両者の解釈には隔たりがあり、実際にどうなるのかはまだわからないという引き続き困った状況です。ローカルメディアも、結局どうなるのかを引き続き取材して記事にしています。

なお、ER と癌に関する取り決めの部分は、2014年7月15日までに両者が署名するはずだったのですが、16日現在まだされていないそうです。

2014年7月16日

COBRA :アメリカで会社を辞めた時の医療保険の継続

会社を退職し、他の会社に入社しない場合の医療保険の話です。日本で会社を辞めた時には、健康保険は任意継続するか、国民健康保険に加入するかでしたが、アメリカではどうでしょうか。アメリカは、日本と違い「国民皆保険」ではありませんので、入らないという危険な選択肢もありえます。
  1. 個人で民間の保険に加入する
  2. COBRA
  3. 無保険者になる?
この COBRA について説明します。

COBRA

コブラは、日本で言うところの任意継続にあたるもので、会社員およびその扶養家族が医療保険の資格を喪失した時に、それを一定期間(退職の場合 18 ヶ月)継続できるというものです。当然、保険料は全額自分で負担することになります(というより 2 %上乗せされることもあります)。そのため、上記 1. の個人で別の保険に入った場合のほうが保険料が安い場合もよくあります。手続きは、資格喪失(退職)後、60 日以内に行う必要があります。
ちなみに、正式名称は、Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act (包括予算調整法)で、1985 年、レーガン大統領の時に連邦議会で可決されました。

適用対象となるライフイベント

COBRA は、退職以外でも対象になりえます。具体的には、会社員および扶養家族が以下の「対象となるライフイベント(Qualifying Events)」によって保険の資格を喪失した時に適用できます。

社員本人については、以下のライフイベントによる保険資格喪失が対象となります。
  • 退職(重大な違法行為による解雇を除く)による資格喪失
  • 勤務時間の減少による資格喪失 
その社員の配偶者については、以下のライフイベントによる保険資格喪失が対象となります。
  • 配偶者である当該社員の退職(重大な違法行為による解雇を除く)による資格喪失 
  • 配偶者である当該社員の勤務時間の減少による資格喪失 
  • 配偶者である当該社員のメディケア(高齢者向け公的医療保険)資格取得による(現保険の)資格喪失
  • 配偶者である当該社員との離婚または法的別居による資格喪失 
  • 配偶者である当該社員の死亡による資格喪失
その社員の子供については、以下のライフイベントによる保険資格喪失が対象となります。
  • 親である当該社員の退職(重大な違法行為による解雇を除く)による資格喪失
  • 親である当該社員の勤務時間の減少による資格喪失
  • 親である当該社員のメディケア(高齢者向け公的医療保険)資格取得による(現保険の)資格喪失
  • 親である当該社員の離婚または法的別居による資格喪失
  • 親である当該社員の死亡による資格喪失
  • 保険プラン上、親である社員の「扶養される子供」ではなくなった時

延長できる期間

どのライフイベントによって資格を喪失したかによって異なります。
  1. 退職または勤務時間減少による場合 : 18 ヶ月。これが一般的でしょう。
  2. 高齢で退職する場合の例外:退職または勤務時間減少による場合で、その資格喪失日(退職日など)の直前 18 ヶ月以内の期間に当該社員がメディケアの資格を取得する場合、配偶者及び扶養家族は、メディケア資格取得の日から 36 ヶ月の日まで延長できます(ただし COBRA の適用は退職日から)*。文章が複雑なのですが、例えば退職の 8 ヶ月前にメディケアの対象となる場合、配偶者と子供の資格は 28 (=36-8) ヶ月延長できます。8 ヶ月は会社の医療保険、28 ヶ月は COBRA で合わせて、メディケアの対象となった日から 36 ヶ月というわけです。
  3. それ以外:36 ヶ月。該当社員の死去や離婚による資格喪失はこれです。
* When the qualifying event is the end of employment or reduction of the employee's hours, and the employee became entitled to Medicare less than 18 months before the qualifying event, COBRA coverage for the employee's spouse and dependents can last until 36 months after the date the employee becomes entitled to Medicare.

従業員数の少ない会社の場合

なお、COBRA は従業員数が 20 人以上の会社に対する合衆国の法律です(Federal COBRA)。20 人未満の会社については、多くの州で州法がカバーしています。例えば、カリフォルニア州には  Cal COBRA、ペンシルバニア州やニューヨーク州には mini-COBRA と呼ばれる同様の州法があります。

2014年7月15日

健康保険の任意継続: 日本で会社を辞めた時

日本で会社を退職した場合の健康保険の手続きについてです。

日本は国民皆保険。会社員ならその会社経由の医療保険(健康保険)、自営業の人は国民健康保険に必ず入ります。
  • 健康保険:会社員。保険料は会社と従業員で半分づつ負担。従業員負担分は給料から天引。
  • 国民健康保険:自営業の人など。保険料は全額自己負担。

任意継続

国民皆保険ですので、退職して他の会社に就職しない場合には、自動的に国民健康保険に加入することになります。しかし「任意継続」といって、一定期間、会社員の時の保険を継続することもできます。社員であるときには、会社が保険料の 50% を負担してくれていましたが、退職後の任意継続については当然全額自分で払うことになります。国民健康保険にするべきか、任意継続にするべきかは、どちらの保険料が安いかで決めるのが一般的でしょう。保険料は、所得、家族構成(扶養者数)から決まってきますので、実際には、以下の手順を踏むことになります。
  1. 住んでいる地域の区役所に電話し、国民健康保険にした場合の保険料を教えてもらう。
  2. 保険組合に電話し、任意継続にした場合の保険料を聞く。こちらの方が安いならそのまま手続き。

任意継続の終了

ところで、面白いのが任意継続を期間満了前に辞める場合の手続き。任意継続の資格喪失には以下の選択肢しかありません。
  1. 他の健康保険等の資格を取得したとき:再就職 / 国保に加入 / 扶養になったなど
  2. 保険料を納付期限までに納付しなかったとき
  3. 死亡した時
組合や対応した人によるかもしれませんが、「海外転出に伴い、しばらく任意継続にした後に、やめたい」と伝えたところ「その場合は保険料を払わず 2. になってください」と言われました。未納で資格喪失というのは、どうも気持ち悪いと伝えたのですが、これしか手続き上の選択肢はないのだそうです。

2014年7月8日

アメリカの医療保険制度

アメリカの保険医療制度をおさらいしておきましょう。日本は、国民皆保険。会社員なら会社を通じて健康保険、自営業の人などは国民健康保険といった形で、全員が保険に加入し、どの病院にも行くことができます。どこに行ってもかかる医療費は原則同じです。

アメリカは国民皆保険ではありません。オバマ大統領の悲願ですが、反対にあい、うまく進んでいません。民間の保険会社(営利または非営利)への加入者が約 70%、高齢者・障害者むけのメディケアまたは低所得者向けのメディケイドといった連邦政府・州が運営する公的保険への加入者が 25% 程度、そしてどちらの保険にも加入していない人も 10 %以上います。


我々のような一般的な会社員は、会社を通じて民間の保険を契約します。つまり、入社時から一ヶ月くらいの間に、どの保険会社のどのタイプの保険にするかを選ばなくてはいけません。年に一回再選択するタイミングがあり、それまでは変えられません。

これがまた、マネジドケアといわれる、医療の質を確保しながら、不必要な医療コストを抑制することを目的とするといういかにも市場原理主義的な手法のために、複雑です。特に、他の国から来た人にとっては難しい選択です。


HMO と PPO

医療保険はいくつかのタイプに分類できますが、大きなものが、HMO と PPO です。

HMO (Health Maintenance Organization) は、保険会社サイド主導で登場したもので、まずは「かかりつけ医」に行った上で、保険会社からもらっているリストに載っている医院でのみ診てもらうことができるというものです。これを「In-network」とか「ネットワーク内の」医療機関といいます。実は専門的な治療になればなるほど、その医療機関のネットワークへの加盟率が低くなっており、最新医療などが受けられない場合や、複雑な治療について、主治医の許可が必要なために実際に治療が受けられるまでに時間がかかったりもします。良い点は自己負担額が少ない点で、たいてい 10 ドル程度払うだけで済みます。

PPO (Preferred Provider Organization) は、HMO に対抗して医療機関主導で生まれたもので、追加料金を払えば、ネットワーク外の病院に行っても、受け入れてもらえます。しかし、多くの場合、医療機関で支払う医療費は多めになります。

さて、HMO の専門治療が受けられない場合があるという問題は、近年訴訟によって改善されてきました。ところが、逆に訴訟費が HMO の財政を圧迫し、それが保険料にはね帰ってきました。つまり保険料が高騰し、PPO と変わらなかったり、むしろ高くなったりしているのです。保険料の安い HMO のはずがもうわけがわかりません。

さらに、市場ニーズに答えて他のタイプも生まれています。例えば、POS(Point-of-service plan)。これは、HMO のオプション的位置づけで、かかりつけ医には行かなくてはいけませんが、追加料金を払うことで、ネットワーク外の医療機関も利用できます。また、EPO(Exclusive Provider Organization)は、かかりつけ医には行かなくても良いですが、それ以外は HMO と同様というものです。


同僚いわく、一般的に特に子供がいる家族などは、PPO の方が良いと思っているそうです。なぜなら、その子が特定の病気を持っているなら、それに対する一番良い病院で看てもらいたいからです。

2014年5月12日

ピッツバーグ医療戦争

今、ピッツバーグ最大の医療機関と保険会社の争いが問題となっています。日本の医療制度では起こらないであろうこの争いを紹介しようと思います。両者は何億円も使って行政にロビー活動を行い、訴訟を起こしており、とばっちりを食らう市民の最大の関心事の一つになっています。

※背後にあるアメリカの医療保険制度についてはコチラをどうぞ。

UPMC

UPMC(University of Pittsburgh Medical Center/ピッツバーグ大学病院)は、この地方にたくさんの優れた医療機関をもっています。世界屈指の先端医療センターでり、医師や製薬会社の人など多くの日本人医療関係者がビッツバーグ大学やここに留学してきています。ピッツバーグ地域のほぼすべての医療機関が UPMC 傘下という、独占状態にあります。


実はピッツバーグにはいろいろな分野にモノポリー(独占)状態があります。これは、ピッツバーグ市民の地元愛からくるもののようで、アメフトなら「我らがスティーラーズ」、衣服ブランドといえば「我らがアメリカンイーグル」、スーパーマーケットといえば「ジャイアントイーグル」というように、地元企業を愛して応援するのですが、それが独占状態を作ってしまっているようです。


なお、UPMC は非営利団体であり、税金を免除されています。しかしながら、UPMC という箱の中の各医療機関や医師たちは営利団体です。とかくと、悪く聞こえるかもしれませんが、私を担当してくださっている UPMC のお医者さんもとてもよい先生です。


Highmark

ハイマークはピッツバーグを拠点にする医療保険の会社です。Highmark Blue Cross Blue Shield という保険プランをピッツバーグ地域に提供しています。Blue Cross Blue Shield Association (BCBS 協会 / ブルー・クロス・ブルー・シールド・アソシエーション) という協会に属しています。

この BCBS 協会は、37の医療保険の会社の連合体で、全米で 1 億人以上の人に医療保険を提供しています。もともとそれぞれの地域で保険を提供していた、テキサス州ダラス拠点の Blue Cross とカリフォルニア拠点の Blue Shield が、全米すべての州で保険を提供するために 1982 年に合併してできました。この BCBS 協会傘下で一番大きいものは、Anthem(アンセム)という会社で、14 州にまたがって保険を提供しています。

BCBS 協会のような保険ネットワークの連合は他に AETNA(エトナ、アテナ)や CIGNA(シグナ)といったものがあります。ですので「君の保険はどこの?」と聞かれたら「ブルークロス」とか「シグナ」などと答えるわけです。



ピッツバーグの UPMC vs Highmark 問題

さて、ピッツバーグにおいて、医療機関は UPMC で問題ありませんでした。ところが、UPMC が 1998年、独自に UPMC Health Plan という保険をスタートさせます。そして、Highmark との契約の更新更新において、強気な姿勢を見せ始めます。Highmark によると「UPMC が医療費を 40% 値上げすることを要求してきている」とのことです。そして、Highmark は対抗するように、2011年、West Penn Allegheny Health System(西ペンシルバニア・アレガニー保険システム)という、この地方で UPMC に次ぐ第二位の医療機関グループを、「この医療グループを助けるため」として傘下におさめ、さらに UPMC の医師を引き抜いていっています。UPMC にいる知人が「凄い金額のオファー」と言っていました。これに腹をたてた UPMC は、保険会社が医療機関を持つのは法律違反訴訟を起こします。確かに、保険会社が医療機関も持つのは利益が相反するので問題があります。今では、新聞やテレビの広告でお互いに非難しあっている泥沼の状態です。


Highmark の加入者にとって、これは当然大問題。自分の家族が UPMC で医療を受けられなくなる可能性があります。Highmark の FAQ ページには「Highmark と UPMC の契約は 2012 年 6 月末に切れるが、加入者は 2013年6月末まで UPMC を利用できる」と書いてありましたが、「引き続き In-network として利用できる」とはないため、out-network として追加料金を払わなくてはいけなくなる可能性があるというわけで不安になりました。2013 年 6 月に「両者は 2014 年末までの契約を更新した」と発表されましたが、UPMC は同時に「その後の更新は行わない予定である」と言っています。


医療保険を選択する年一回のタイミングは秋ですが、この頃に両者が契約更新しないとなると、困るわけですし、既に「UPMC でその保険は使えない」と言われ、Highmark に確認したら「使える」と異なった回答が返ってきたという人もいます。


人々は、ペンシルバニア州とピッツバーグ市はこの問題にもっと介入して良いはずだといっています。UMPC も Highmark も非営利団体なのであり、このいざこざにより市民が影響をうけることのないように、両者は解決の道を探るべきです。UPMC は非営利団体だからとして税金を免除されているのですし。

ピッツバーグ市は両者が関係を改善するように促していますが、UPMC はピッツバーグの最大の雇用者であるだけに強気です。UPMC は Highmark との契約交渉を拒否する一方、Aetna、CIGNA、HealthAmerica、United HealthCare といった他の保険会社とは契約を広げていっています。


※この話の続きを「ピッツバーグ医療戦争に関する同意判決」に書きました。

2014年5月8日

ペンシルバニア州の自動車保険と各項目について

アメリカの自動車保険の中の各項目について、一度きちんと理解しておこうと調べました。※あくまでの私の理解ですので、誤りがあっても責任は持てませんのでご了承ください。

保険の契約の中には、以下の項目があります。

賠償責任補償 (Liability Coverage)

対人および対物の補償。我々が事故を起こしてしまった際に、相手側の車と人に対する補償をする保険です。一番大切な保険で、必ず入らなくてはいけません。


Full Tort と Limited Tort

これがペンシルバニア州独特のものです。ペンシルバニア州では、車の保険契約の際に、このオプションを選ぶ必要があり、みんなが混乱しています。Tort とは辞書では「不法行為」のことですが、法律用語で「Civil wrongdoing」という意味だそうです。”Civil wrongdoing – in civil law, a wrongful act for which damages can be sought by the injured party.” 「民法において、被害者側によって不正に請求される損害賠償」といったところでしょうか。


過去に事故に起因する精神的苦痛(pain and suffer)を賠償しろという訴訟が増加し続けていました。賠償訴訟に対応する費用は保険料に跳ね返り、自動車保険料は高騰していました。このオプションは、これを食い止める目的でペンシルバニア州が作ったものです。


Full tort も Limited tort も、本人の過失に起因しない事故で、本人または同乗者が怪我をした際に適用される話です。Limited Tort でも、過失のある車の運転者に対し、医療費や損害といった実際に被害者が支払うことになった金銭については補償されますが、事故により被った痛みや苦痛については、支払いを求める訴訟を起こすことができません。これに対し、Full Tort では、医療費に加えて、苦痛に対する対価も求める事ができます。


保険を検討している時に、複数のサイトに「多くの人は、保険料を節約するために Limited Tort を選びますが、長い目で見るとどうでしょう。我々は Full Tort を強くお勧めします。」と語られているのですが、よく見ると多くは弁護士のサイトでした。彼らとしては、訴訟を起こす前から権利を放棄されてしまっていては商売あがったりですもんね。でもどうでしょう、我々が訴訟を起こしたりまでするでしょうか。というわけで、私は初めは鵜呑みにして Full Tort  にしましたが、後に Limited Tort に変えました。


この選択が人々を混乱させているのは、この「自分たちに対する補償」についての選択によって、対人・対物補償という「相手に与えてしまった場合の支払いに対処するための補償」の年間の保険料(Premium)が変わってくるからだと思います(下図の赤い矢印)。何についての保険なのかが、ごちゃごちゃになってくるのです。





無保険者保険 (Uninsured Motorist Coverage)

相手の過失による事故で、相手が無保険者であった場合(相手が無保険者である証明が必要)、こちら(運転者)及び同乗者の負傷に対する補償をしてくれる保険です。保険には必ず入らなくてはいけないので、相手が無保険という場合は少なそうです。次の保険不足者保険の方が大事そうです。


保険不足者保険 (Underinsured Motorist Coverage)

こう訳語をつけてみましたが、無保険者と似たもので、相手の過失による事故で、相手の保険が足りなかった場合に、こちらの負傷に対する補償をしてくれる保険です。実は保険料(Premium)が高騰していることもあり、かなり多くの人が、最低限の保険しかつけていないそうです。その場合の補償は、被害者一人あたり $15,000 (約150万円)程度。被害者となった時にこれしか補償されないのでは、問題なので、このオプションを付けておいたほうが良いわけです。


With Stack / Without Stack とは

ところで、無保険者保険・保険不足者保険には、Stacking(積み重ね)という条項があり、更に混乱させてくれます。これは「With Stacking(積み重ねる)」か「Without Stacking(積み重ねない)」を選択することになるのですが、複数の車を所有して一つの保険契約に入れている場合で事故に遭った時に、それぞれの無保険車保険の補償を積み重ねて請求できるようにしておくか、この権利を放棄するかというものです。放棄すると請求できる金額は少なくなりますが、当然年間の支払い保険料(Premium)は安くなります。


契約書類上は、「REJECTION OF STACKED UNINSURED AND UNDERINSURED MOTORIST COVERAGE LIMIT」すなわち「無保険者保険の補償の積み重ねの拒否に関して」という書類にサインする(放棄する=Without Stacking)か、しないかという手続きにでした。

なお、複数の車を所有する場合にのみ関係してくるものなので、一台のみの場合は、通常自動的に「Without Stack」になります。

私は Stacking を選びました。車を 2 台所有する際の保険料は倍というわけではなく、二台目はかなり割り引かれるので、Stacking にしても大した保険料にはないからです。


支払う
年間保険料
補償の請求
例)2 台各々に「1 人 10 万ドル 1 事故 30 万ドルまで」を設定した場合
With Stacking

高い
◎ 複数の車の保険を積み重ねて請求可
1 人 20 万ドル 1 事故 60 万ドルまで
Without Stacking

安い
▲ 1台分に設定した補償しか請求できない
1 人 10 万ドル 1 事故 30 万ドルまで


車両保険 (Comprehensive Coverage and Collision Coverage)

自分の車への損害に対する補償です。
  • Comprehensive は、盗難・火災等による車への損害に対する補償。
  • Collision は、自損事故による車への損害に対する補償。
自己負担額(=免責額=Deductible)の設定があり、この金額までは、まず自腹で払わなくてはいけません。それを超えた修理費を保険がカバーしくれます。つまり、自己負担額が $500 で、$1,500 の修理費がかかった場合には、自分で $500 を支払い、保険会社が $1000 を払ってくれます。

というわけで、自己負担額(=免責額=Deductible)を大きく設定するほど、当然毎年支払う保険料(Premium)は安くすみます。事故に遭った時の自腹が多いので。


その他、車両保険に付随するオプション

  • Towing and Labor: レッカーが必要になった場合の費用を出してくれる。
  • Roadside Assistance: ロードアシスタンスサービス。私の保険には「24時間の全米及びカナダ、ただしニューヨークを含まない」とありました。
  • Extended Transportation Expenses Coverage: 事故によって車が修理に出ている間のレンタカー費用などを補填してくれる。点検での修理工場入りは含まない。
  • New Car Replacement Coverage: 車両保険でカバーされるのはその時のその車の価値分であり、中古価格です。全損により新車を購入する必要が出た場合に、その差を埋めてくれるのがこのオプションです。

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