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2018年1月9日

結局どの医療保険を選べばよいのか(HSAのあるプラン)

以前に「アメリカの医療保険制度」というエントリーで、PPOやHMO(EPO)について説明しましたが、結局どの保険を選べば良いのかという話です。当然それぞれの人の状況によって最善の選択は違うので「私はこれを選んだ」という話です。

Health Investment Plan

結論としては、私は数年前からPPOでもEPOでもないプランを選択しており、これに非常に満足しています。色々検討したのですがここを担当している人の「弊社社員の9●%以上はこのプランで一番得をする」という分析を聞いてこれにしました。

某社に勤めている人は「〜HIP」と呼ばれているプランがそれです。他の会社でも似た様な名称のプランがあるのではないでしょうか。HIPは、Health Investment Planの略で、一般的にHigh-Deductible Health Plan (HDHP)とかConsumer Driven Health Planとも呼ばれる保険の分類に入るはずです。

これは基本的には「保険料は安めで、毎回の支払いは少し高い」という考えかたのものなのですが、以下の特徴があります(以下は某社のHIPプランにのみあて当てはまる話を含んでいます)。
  • PPO同様、In-network、Out-of-networkどちらの医療機関にもかかれる(EPOはIn-networkの医療機関のみ)
  • HSA(Health Savings Account)を持つ事ができ、そこに会社が毎年ある程度の資金を入れてくれる(後述)。
  • 自腹で払う医療費は、以下の通り。下に簡素化したイメージのグラフを載せます。
    • 予防的な診療は無料。
    • Deductibleがある。つまり毎年一定額まではまず自分で支払う。ただしHSAへのサポートでその金額はカバーされている。
    • Deductibleに達すると保険から補助が出るが自分でも支払う(Coinsurance)。
    • その年の自腹の上限が決まっているので、高額な医療費で破産することもないはず。
先日子供が頭を打って念のため1日入院した際の医療費が2000ドルを超えていたのですが、結局そのくらいならば、年間を通すと自腹はないというわけです。

HSAについて

この保険プランだとHSA(Health Savings Account)という口座を持つことになるのですが、これがとても良いです。PPOやEPOにはFSA(Medical Flexible Spending Account)という似た口座があるのですが、HSAの方が有利です。
  • 医療費や医薬品代をこの口座から支払う事ができる。クレジットカードが渡され、これでも支払えるので楽です。
  • 会社が毎年ある程度の資金を入れてくれる。
  • 税引き前給与からこの口座にお金を追加する事ができるため、所得税の節税ができる。節税する関して、401KとHSAは重要なお得ポイントです。
  • 年末に口座に残っても、そのまま保持される(これがPPO/EPOのFSAと大きく違うところ)。資産として運用することもできる。
気になるのは、将来日本に引っ越した時にどうなるかという点ですが、米国外の医療機関でかかった医療費もHSAで支払えると言われています。ですので、クレジットカードや銀行口座の問題がなければ、HSAに残った資金を帰国後も使えるはずです。

2017年12月28日

529 College Saving Plan

子供や孫が大学に通うための資金を貯蓄する際に、税金の優遇が受けられる「529 カレッジ・セービング・プラン」というものを調べました。

529は、全米の各州がそれぞれ独自に用意しています。そして以下の3つは一致していなくても構いません。
  • 現在住んでいる州
  • どの州の 529 Plan に入るか
  • どの州の大学に行くか 
ですので、例えば、ペンシルバニア州に住んで、ニューヨーク州の529プランで貯蓄し、将来カリフォルニア州の大学に通わせるというのでも良いわけです。

日本人的に気になるのは「529で貯蓄して、海外の大学に通わせることができるか?」という点。結論としては「OKなアメリカ外の大学もあるが、日本にはOKな大学はない」でした。

529が適用できる大学を http://www.savingforcollege.com というサイト内で調べることができます。このページです。

これで海外の大学を全部表示させたのですが、残念ながら日本の大学は出てきませんでした。

となると、せっかく529プランで節税しながら貯蓄しても、子供が日本の大学に通うことになると、ペナルティを払って解約するという事になってしまいそうです。

2014年7月28日

FBAR 国外金融口座報告書 (FinCEN 114)

FBAR は Report of Foreign Bank and Financial Accounts というもので、アメリカ国外にある銀行口座や証券口座などの金融口座に関する報告書です。ある一定以上の資産のある人は、IRS(国税庁/Internal Revenue Service)に毎年申告しなくてはいけません。

提出しなくてはいけない人

以下の全てにあてはまる場合に、提出義務があります。
  • アメリカ国籍の人、アメリカ在住の人またはアメリカ法人
  • アメリカ国外に一つ以上金融口座を持っている
  • アメリカ国外の口座の資産合計が $10,000 以上

FinCEN Form 114

申請に使うのが、Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN)という機関のフォーム 114 というもので、BSA E-Filing System で電子申告します。以前は TD F 90-22.1 というフォームが指定されていたのですが、こちらに変わったそうです。

Form 8938

なお、確定申告の際に、Form 8938 という FBAR と似た別のフォームも提出しなくてはいけない場合が多くあります。こちらを提出する場合も、FBAR も提出しなくてはいけません。

2014年7月24日

Form W-8 BEN 源泉徴収免除のための非居住者証明

W-8BEN を解説します。Wで始まるフォームはIRA(国税庁)のもので、W-8BEN は、Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding (米国での源泉徴収に関する受益者の外国でのステータス証明)です。

租税条約

日本とアメリカなどは、租税条約を結んでいます。これは、両方の国での二重課税や脱税を防止するための取り決めです。このおかげで、日本に住んでいる人(や会社)がアメリカで利益を得ても、日本とアメリカで所得税を二重に課せられることはありません。

W-8BEN とは

租税条約に基づき、日本に住んでいる人(アメリカに住んでいないアメリカ人でない人=non-resident alien )が利子や配当、使用料、家賃収入、年金などについて、アメリカで源泉徴収されないようにするための書類が W-8 BEN です。アメリカの国税庁に「アメリカに住んでいないから源泉徴収しないでね」というものですね。

例えば、アメリカの会社の日本法人に勤めていて、米本社からもストック・オプションやストック・ユニットを受け取っているという人は、W-8 BEN を提出しておくべきです。

なお、W-8 BEN は、アメリカでの賃金、所得には適用されず、こちらについては、W-4 (以前のポスト)を提出します。フリーランスの人は、W-4 でなく Form 8233 を使うそうです。

W-8BEN の提出先

提出する先は、銀行や証券会社など、その利子や配当を出す組織です。アメリカに銀行口座を作った時には、銀行から提出するように連絡が来ると思います。

W-8BEN の有効期限

ステータスに変更がない限り、原則的にサインされた日から、3 年目の年末まで有効だとあります。例えば、2015 年 9 月 30 日にサインされたものは、2018 年 12 月 31 日まで有効です。

その他の W-8 フォーム

W-8BEN-E というのもあり、個人が W-8BEN、法人が W-8BEN-E を提出します。W-8 には他にもこんな種類があります。

  • W-8CE : Notice of Expatriation and Waiver of Treaty Benefits
  • W-8ECI : Certificate of Foreign Person's Claim That Income Is Effectively Connected With the Conduct of a Trade or Business in the United States
  • W-8EXP : Certificate of Foreign Government or Other Foreign Organization for United States Tax Withholding and Reporting
  • W-8IMY : Certificate of Foreign Intermediary, Foreign Flow-Through Entity, or Certain U.S. Branches for United States Tax Withholding and Reporting

2014年7月23日

Form W-4 源泉徴収額申告書

毎月の所得税天引き額を自分で申請する

源泉徴収額申請書と名付けてみましたが、From W-4 とは Employee's Withholding Allowance Certificate (従業員源泉徴収証明書)というもので、日本には同等の書類はありません。

どの国にも所得に応じた税金(個人所得税)がありますが、日本の会社員の場合は、会社が勝手に計算し、毎月給料から天引きしてくれます。年間を通して多く引きすぎた分に関しては、年末調整を行なってそれを返してもらいます。これも会社がやってくれます。

アメリカにはこのサービスはなく、会社員各々があらかじめ自分で申請する必要があり、そのためのフォームが W-4 です。年間の所得税がいくら位になるかを予測するわけです。多ければ戻ってきますし、足りなければ後から追加で払います。多く払って返金される時には金利をつけてくれますし、逆に後から追加で払う場合には金利をつけなくてはいけません。

IRS(Internal Revenue Service : 国税庁)は「あなたの会社が給料から正しく連邦所得税を天引きできるように W-4 を提出してください。新しいものを毎年、そして家族に異動があった時に提出しましょう」と言っています。

なお、Form 1040 は、後に提出する確定した税額の書類です。



W-4 の書き方


A) Enter “1” for yourself if no one else can claim you as a dependent 
自分が誰かの被扶養者でないなら「1」を記入。

B) Enter “1” if: { 
  • You are single and have only one job; or
  • You are married, have only one job, and your spouse does not work; or . . .
  • Your wages from a second job or your spouse’s wages (or the total of both) are $1,500 or less.

次のいずれかに当てはまる場合に「1」を記入。

  • 独身で、一つの仕事にしか就いていない。
  • 結婚していて、一つの仕事にしか就いていなくて、配偶者が働いていない。
  • 二つ目の仕事、配偶者の仕事の賃金の合計が 1,500 ドル以下である。


C) Enter “1” for your spouse. But, you may choose to enter “-0-” if you are married and have either a working spouse or more than one job. (Entering “-0-” may help you avoid having too little tax withheld.)
配偶者の分で「1」を記入。結婚していて配偶者が働いているか、二つ以上の仕事に就いているなら「0」を記入。先に天引きされる所得税(源泉徴収)が少なすぎる事を避けたいなら「0」。


D) Enter number of dependents (other than your spouse or yourself) you will claim on your tax return
(配偶者と本人を除く)扶養する人の人数を記入。

E) Enter “1” if you will file as head of household on your tax return.
世帯主である場合は「1」を記入。なんだか単語の直訳からすると違和感がありますが、税理士に「通常これは独身の場合にのみこのステータスになりえる」とアドバイスされました。実際 IRS も「通常世帯主ステータスは、独身で、被扶養者および本人のための家のコストの 50 %以上を支払っている場合のみ」とあります。なお、確定申告のステータスには以下があるそうです。
  • Head of Household(世帯主)
  • Single(独身)
  • Married Filing Jointly(既婚で一緒に申告)
  • Married Filing Separately(既婚で別々に申告)
  • Qualified Widow(er)(配偶者と死別した人。未亡人、寡婦、寡夫…)
※この辺りの事をここにもう少し詳しく書きました。⇒ 「アメリカの税金でいうところの Head of Household(特定世帯主)


F) Enter “1” if you have at least $2,000 of child or dependent care expenses for which you plan to claim a credit (Note. Do not include child support payments.) 
子供または被扶養者の養育費用が 2,000 ドルを超える場合には「1」を記入。

G) Child Tax Credit (including additional child tax credit).
  • If your total income will be less than $65,000 ($95,000 if married), enter “2” for each eligible child; then less “1” if you have three to six eligible children or less “2” if you have seven or more eligible children. 
  • If your total income will be between $65,000 and $84,000 ($95,000 and $119,000 if married), enter “1” for each eligible child

  • 合計の所得が 65,000 ドル(既婚なら 95,000 ドル)以下なら、各子供当たり「2」を記入。その上で、3 ~ 6 人なら「1」、7 人以上なら「2」を引く。
  • 合計の所得が 65,000 ~ 84,000 ドル(既婚なら 95,000 ~ 119,000 ドル)なら、子供一人あたり「1」を記入。

H) Add lines A through G and enter total here.
A から G までを足す。


日本の先進的な(!)源泉徴収

ところで、日本の源泉徴収と年末調整は、会社が社員に代わって面倒な計算を行うので「やってくれる」と書きましたが、社員(納税者)としては、所得税をいくら払っているかという事を気にしなくても生活できてしまうわけです。つまり「こんなに税金とられてる!」と感じづらくなるわけで、税金を 搾取する 集める側としては非常に上手くやっているわけです。計算の手続きを会社にやらせ、納税者である会社員からは払っている事を半ば忘れさせるという、とても「国税庁にとって」先進的な制度ですね。


※「W-4 についての追加アドバイス」を書きました。こちらも御覧ください。

2014年7月9日

アメリカの 401(K) について (Traditional / Roth / IRA)

401(K) を導入しているアメリカの会社に入社すると、はじめに 401(K) をどう設定するかを決めなくてはいけません。Roth などという聞きなれない用語も出てくるところなので、まとめてみました。


401(K) とは

401(K) は確定拠出型年金のことで、それに対する制度は確定給付年金です。
  • 確定給付:古典的な企業年金制度。企業が年金を運営し、従業員が老後受け取ります。従業員としては受け取れる年金額があらかじめ補償されているので「給付が確定している」というわけです。会社が倒産したらどうなんるんだという問題があります。JAL が実質的に経営破綻した時に話題になりました。
  • 確定拠出:最近取り入れられてきている制度。年金になるものを現役時代に毎月払込み(拠出)、自分で運用していって将来引き出します。「拠出が確定している」が運用によって老後受け取る「給付額」は確定していないわけです。上手く運営すれば受取額は大きくなりますし、失敗すると減りますが、それも自分の責任です。


マッチング

さてアメリカでは matching という用語が出てきます。これはなんでしょう。
日本版 401(K) には企業型と個人型があり、企業型では会社が全額を拠出します。
  • 企業型:取り入れている会社で働いている時。毎月全額を会社が拠出(=我々の 401K 口座にいれる)してくれます。
  • 個人型:導入している会社をやめた時や自営業の人。毎月自分で拠出(=401K 口座に入れる)していきます。
これに対し、アメリカの確定拠出年金 401(K) は、各個人が毎月いくら拠出(給与から天引きして401K 口座に入れる)するか指定して、これに会社がいくらかをプラス(貢献)して入れてくれます。これをマッチングといいます。例えば会社によって、年間 3,000 ドルまでは 100% マッチングしてくれるといった形です。この場合は、自分が年間 5,000 ドルを自分の 401(K)  口座に拠出するなら、会社は 3,000 ドルを追加で入れてくれます。この金額やパーセンテージが大きければ、社員は嬉しい訳で、会社としては福利厚生のセールスポイントになります。
401(K) にはマッチングの他に、後述するとおり所得税に関するメリットがあります。


年金の種類

さらに制度には、PreTax / Roth 401(K) / Traditional After-Tax といったものがあります。これは何でしょうか。入社時にこれらをどう設定するかを決める必要が出てきます(後でも変えることもできます)。

1. Traditional 401(K)

いわゆる企業型 401(K)。Pre Tax 401(K) とも呼ばれていたりします。401(K) 口座への拠出は給料から天引きによって行われるわけですが、天引きされた残りの給料に対してのみ連邦所得税(Federal Income Tax)がかかるので、社員にとっては所得税が安くなるメリットがあります。将来年金を受け取るときには税金がかかるのですが、一般的な人ならば、その頃には他の収入があまりないので、かかっても多くの所得がある現役時代に課税されるより良いわけです(Tax Deferred といいます)。

2. Roth 401(K)

これは Traditional 401(K) と違い、拠出額を非課税扱いにすることはできません。しかし、将来年金を受け取るときに全額非課税扱いとなります。老後に今よりも収入が多くあるという(羨ましい)人は、先に課税されておいた方が有利なのです。ちなみに Roth は立法に関わった議員の名前です。こちらの場合も会社がマッチングしてくれます。

3. Traditional IRA

IRA は Individual Retirement Agreement の略で、個人の退職年金プランの一つです。401(K) を導入していない企業の人や、自営業の人のためのもの。銀行などでも開設できます。ちなみに一見似ている IRS は Internal Revenue Service で、国税庁のことです。Traditional IRA は、Traditional 401(K) と同様の課税処理の個人型プランです。

4. Roth IRA

こちらは Roth 401(K) と同様の課税処理の個人型版です。


まとめるとこうなります。



拠出時は非課税
老後受取り時に課税
拠出時に課税
老後受取り時は非課税
401(K):導入企業で働いている人
Traditional 401(K)
Roth 401(K)
個人型:非導入企業の人や自営業
Traditional IRA
Roth IRA




Traditional と Roth、どっちを選ぶべき?

結局どの制度にするべきかということなのですが、ざっくり言うとこういうことです。
  • Traditional : 老後には所得がないのでその時に課税された方が得な人。普通のサラリーマンはこっちですよね。
  • Roth : 老後に今以上の所得があるので今のうちに課税されたほうが良い。これって不動産収入とか役員収入とか印税とか?…いわゆる勝ち組でしょう。




そもそもアメリカで年金貯蓄する?

老後をアメリカで過ごすかどうかが、まだわからない人は、給料から 401(K) に拠出してゆくべきかどうか迷うところです。401(K) は 59 歳 6 ヶ月になるまで引き出せず、それより前に引き出す場合には 10% のペナルティを取られますからです。
例えば、年間 3,000 ドルまでは 100% マッチングしてくれる会社の場合。いやらしい計算ですが、年間 3,000 ドル拠出にしておけば、会社がもう 3,000 ドルあなたにくれるわけで、万が一1年後に中途脱退することになって、10% のペナルティ 600 ドルを支払っても 2,400 ドルのプラスになる…と考える人もいます。

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