2014年7月29日

アメリカのビザ一覧

アメリカのビザ一覧です。よく見かけるのは、太字のものでしょうか。

A : 外交官および政府職員ビザ
B : 商用/観光ビザ
C : 通過ビザ
D : クルー(乗務員)ビザ
E : 貿易駐在員・投資駐在員ビザ
F : 学生ビザ(一般的な学生ビザ)
G : 国際機関関係者ビザ
H : 就労ビザ
I : 報道関係者ビザ
J : 交流訪問者ビザ
K : 婚約者ビザ
L : 就労ビザ(企業内転勤)
M : 学生ビザ(職業訓練生)
N : 特定の移民の子供
NATO : NATO 条約に関連するビザ
O : 就労ビザ(芸術・科学・ビジネス分野での天才)
P : 就労ビザ (国際的に評価されているスポーツマン・芸能人)
Q : 就労ビザ(国際的文化交流者)
R : 宗教活動家ビザ
S : アメリカに関連する事件の情報提供者のビザ
T : 人身売買被害者ビザ
U : 犯罪の被害者ビザ
V : 永住権保持者の配偶者と未婚の子供

2014年7月28日

FBAR 国外金融口座報告書 (FinCEN 114)

FBAR は Report of Foreign Bank and Financial Accounts というもので、アメリカ国外にある銀行口座や証券口座などの金融口座に関する報告書です。ある一定以上の資産のある人は、IRS(国税庁/Internal Revenue Service)に毎年申告しなくてはいけません。

提出しなくてはいけない人

以下の全てにあてはまる場合に、提出義務があります。
  • アメリカ国籍の人、アメリカ在住の人またはアメリカ法人
  • アメリカ国外に一つ以上金融口座を持っている
  • アメリカ国外の口座の資産合計が $10,000 以上

FinCEN Form 114

申請に使うのが、Financial Crimes Enforcement Network (FinCEN)という機関のフォーム 114 というもので、BSA E-Filing System で電子申告します。以前は TD F 90-22.1 というフォームが指定されていたのですが、こちらに変わったそうです。

Form 8938

なお、確定申告の際に、Form 8938 という FBAR と似た別のフォームも提出しなくてはいけない場合が多くあります。こちらを提出する場合も、FBAR も提出しなくてはいけません。

2014年7月24日

Form W-8 BEN 源泉徴収免除のための非居住者証明

W-8BEN を解説します。Wで始まるフォームはIRA(国税庁)のもので、W-8BEN は、Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner for United States Tax Withholding (米国での源泉徴収に関する受益者の外国でのステータス証明)です。

租税条約

日本とアメリカなどは、租税条約を結んでいます。これは、両方の国での二重課税や脱税を防止するための取り決めです。このおかげで、日本に住んでいる人(や会社)がアメリカで利益を得ても、日本とアメリカで所得税を二重に課せられることはありません。

W-8BEN とは

租税条約に基づき、日本に住んでいる人(アメリカに住んでいないアメリカ人でない人=non-resident alien )が利子や配当、使用料、家賃収入、年金などについて、アメリカで源泉徴収されないようにするための書類が W-8 BEN です。アメリカの国税庁に「アメリカに住んでいないから源泉徴収しないでね」というものですね。

例えば、アメリカの会社の日本法人に勤めていて、米本社からもストック・オプションやストック・ユニットを受け取っているという人は、W-8 BEN を提出しておくべきです。

なお、W-8 BEN は、アメリカでの賃金、所得には適用されず、こちらについては、W-4 (以前のポスト)を提出します。フリーランスの人は、W-4 でなく Form 8233 を使うそうです。

W-8BEN の提出先

提出する先は、銀行や証券会社など、その利子や配当を出す組織です。アメリカに銀行口座を作った時には、銀行から提出するように連絡が来ると思います。

W-8BEN の有効期限

ステータスに変更がない限り、原則的にサインされた日から、3 年目の年末まで有効だとあります。例えば、2015 年 9 月 30 日にサインされたものは、2018 年 12 月 31 日まで有効です。

その他の W-8 フォーム

W-8BEN-E というのもあり、個人が W-8BEN、法人が W-8BEN-E を提出します。W-8 には他にもこんな種類があります。

  • W-8CE : Notice of Expatriation and Waiver of Treaty Benefits
  • W-8ECI : Certificate of Foreign Person's Claim That Income Is Effectively Connected With the Conduct of a Trade or Business in the United States
  • W-8EXP : Certificate of Foreign Government or Other Foreign Organization for United States Tax Withholding and Reporting
  • W-8IMY : Certificate of Foreign Intermediary, Foreign Flow-Through Entity, or Certain U.S. Branches for United States Tax Withholding and Reporting

2014年7月23日

Form W-4 源泉徴収額申告書

毎月の所得税天引き額を自分で申請する

源泉徴収額申請書と名付けてみましたが、From W-4 とは Employee's Withholding Allowance Certificate (従業員源泉徴収証明書)というもので、日本には同等の書類はありません。

どの国にも所得に応じた税金(個人所得税)がありますが、日本の会社員の場合は、会社が勝手に計算し、毎月給料から天引きしてくれます。年間を通して多く引きすぎた分に関しては、年末調整を行なってそれを返してもらいます。これも会社がやってくれます。

アメリカにはこのサービスはなく、会社員各々があらかじめ自分で申請する必要があり、そのためのフォームが W-4 です。年間の所得税がいくら位になるかを予測するわけです。多ければ戻ってきますし、足りなければ後から追加で払います。多く払って返金される時には金利をつけてくれますし、逆に後から追加で払う場合には金利をつけなくてはいけません。

IRS(Internal Revenue Service : 国税庁)は「あなたの会社が給料から正しく連邦所得税を天引きできるように W-4 を提出してください。新しいものを毎年、そして家族に異動があった時に提出しましょう」と言っています。

なお、Form 1040 は、後に提出する確定した税額の書類です。



W-4 の書き方


A) Enter “1” for yourself if no one else can claim you as a dependent 
自分が誰かの被扶養者でないなら「1」を記入。

B) Enter “1” if: { 
  • You are single and have only one job; or
  • You are married, have only one job, and your spouse does not work; or . . .
  • Your wages from a second job or your spouse’s wages (or the total of both) are $1,500 or less.

次のいずれかに当てはまる場合に「1」を記入。

  • 独身で、一つの仕事にしか就いていない。
  • 結婚していて、一つの仕事にしか就いていなくて、配偶者が働いていない。
  • 二つ目の仕事、配偶者の仕事の賃金の合計が 1,500 ドル以下である。


C) Enter “1” for your spouse. But, you may choose to enter “-0-” if you are married and have either a working spouse or more than one job. (Entering “-0-” may help you avoid having too little tax withheld.)
配偶者の分で「1」を記入。結婚していて配偶者が働いているか、二つ以上の仕事に就いているなら「0」を記入。先に天引きされる所得税(源泉徴収)が少なすぎる事を避けたいなら「0」。


D) Enter number of dependents (other than your spouse or yourself) you will claim on your tax return
(配偶者と本人を除く)扶養する人の人数を記入。

E) Enter “1” if you will file as head of household on your tax return.
世帯主である場合は「1」を記入。なんだか単語の直訳からすると違和感がありますが、税理士に「通常これは独身の場合にのみこのステータスになりえる」とアドバイスされました。実際 IRS も「通常世帯主ステータスは、独身で、被扶養者および本人のための家のコストの 50 %以上を支払っている場合のみ」とあります。なお、確定申告のステータスには以下があるそうです。
  • Head of Household(世帯主)
  • Single(独身)
  • Married Filing Jointly(既婚で一緒に申告)
  • Married Filing Separately(既婚で別々に申告)
  • Qualified Widow(er)(配偶者と死別した人。未亡人、寡婦、寡夫…)
※この辺りの事をここにもう少し詳しく書きました。⇒ 「アメリカの税金でいうところの Head of Household(特定世帯主)


F) Enter “1” if you have at least $2,000 of child or dependent care expenses for which you plan to claim a credit (Note. Do not include child support payments.) 
子供または被扶養者の養育費用が 2,000 ドルを超える場合には「1」を記入。

G) Child Tax Credit (including additional child tax credit).
  • If your total income will be less than $65,000 ($95,000 if married), enter “2” for each eligible child; then less “1” if you have three to six eligible children or less “2” if you have seven or more eligible children. 
  • If your total income will be between $65,000 and $84,000 ($95,000 and $119,000 if married), enter “1” for each eligible child

  • 合計の所得が 65,000 ドル(既婚なら 95,000 ドル)以下なら、各子供当たり「2」を記入。その上で、3 ~ 6 人なら「1」、7 人以上なら「2」を引く。
  • 合計の所得が 65,000 ~ 84,000 ドル(既婚なら 95,000 ~ 119,000 ドル)なら、子供一人あたり「1」を記入。

H) Add lines A through G and enter total here.
A から G までを足す。


日本の先進的な(!)源泉徴収

ところで、日本の源泉徴収と年末調整は、会社が社員に代わって面倒な計算を行うので「やってくれる」と書きましたが、社員(納税者)としては、所得税をいくら払っているかという事を気にしなくても生活できてしまうわけです。つまり「こんなに税金とられてる!」と感じづらくなるわけで、税金を 搾取する 集める側としては非常に上手くやっているわけです。計算の手続きを会社にやらせ、納税者である会社員からは払っている事を半ば忘れさせるという、とても「国税庁にとって」先進的な制度ですね。


※「W-4 についての追加アドバイス」を書きました。こちらも御覧ください。

2014年7月22日

Form I-20 入学許可証

I-20 フォームは、大学からの入学許可証の事で、F(学生)ビザまたは M(職業訓練生)ビザのための資格証明書です。認定された大学が発行する、米国国土安全保障省(U.S. Department of Homeland Secutiry)所轄のフォームです。

J(交換訪問者)ビザには、同等の DS-2019 があります。

2014年7月17日

ピッツバーグ医療戦争に関する同意判決

以前に紹介した「UPMC vs Highmark ピッツバーグ医療戦争」に展開がありました。

おさらい:下の両者が対立して、契約を更新するしないという話になっており、加入者は来年以降 UPMC で医療を受けられるか不安になっている。
  • UPMC(ピッツバーグ大学医療センター):世界有数の医療機関でピッツバーグ地域のほとんど全ての医療機関がこの傘下という独占的支配的な非営利組織。独自の医療保険もはじめた。 
  • Highmark(ハイマーク): ペンシルバニア州最大の大手医療保険の会社。UPMC への不満から、対抗する医療機関を作ろうと、医療グループ Allegheny Health Network facilities を買収し、UPMC から医師を引抜いている。

同意判決

UPMCとHighmarkの間での契約は、2014年末をもって更新されず、期限が切れる事になりました。しかしこれに関し、2014年6月27日に 5年間の同意判決が発表されました。Highmark 加入者の多くは 2015年1月以降UPMCの医療施設においてin-networkの低価格な医療を受けられなくなるものの、いきなり全てが打ち切られるのではなく、この同意判決による移行措置が設けられます。

UPMC で治療を受けられないとなると、Highmark の加入者の中には、他の保険に乗り換える人がたくさん出てくると思われます。UPMC も独自の医療保険を持っていますし、それ以外の大手の医療保険、例えば、Aetna(アテナ)、Cigna(シグナ)や United(ユナイテッド)は、これまでの Highmark の様に、UPMC と Allegheny Health Network facilities の両方で in-network として受け入れらます。

Highmark としては、この移行措置のお陰で、いきなり加入者へのサービスが打ち切られるわけではない事で。少し胸をなでおろしたところです。胸を撫で下ろすのは、振り回されている加入者ですが。

さて、その移行措置の内容は以下のとおりです。UPMC が細かく「ただし」のコメントを発表しており、両者に解釈の相違が見られます。

移行に関する合意

  1. 現在 UPMC で治療を受けている人は、来年(2015年)中もその治療が受けられる。 
    • ただし、Highmark が医師の治療方針に異議を唱えない場合のみ。 
  2. ER(緊急処置)については、UPMC のすべての施設が in-network の低料金で受け入れる。 
    • ただし、in-network の医療機関に転院するまでの間のみ。 
  3. 癌を患った際には、治るまで UPMC で治療が受けられる。 
    • ただし、患者の主治医が「他の医療機関ではなく UPMC の癌専門医による治療が必要」と判断した場合のみ。 
  4. 代替となる医療施設がない全ての人が UPMC で治療を受けられるように、2015 年中はセイフティーネットを提供する。 
    • UPMC いわく、この対象となる人はかなり少ないはず。 
  5. 65 歳以上の人、メディケア(高齢者向け公的医療制度)、メディケイド(低所得者向け公的医療制度)の加入者は、引き続き UPMC で治療が受けられる。 

正確なところは?

この通り、合意文書についての両者の解釈には隔たりがあり、実際にどうなるのかはまだわからないという引き続き困った状況です。ローカルメディアも、結局どうなるのかを引き続き取材して記事にしています。

なお、ER と癌に関する取り決めの部分は、2014年7月15日までに両者が署名するはずだったのですが、16日現在まだされていないそうです。

2014年7月16日

COBRA :アメリカで会社を辞めた時の医療保険の継続

会社を退職し、他の会社に入社しない場合の医療保険の話です。日本で会社を辞めた時には、健康保険は任意継続するか、国民健康保険に加入するかでしたが、アメリカではどうでしょうか。アメリカは、日本と違い「国民皆保険」ではありませんので、入らないという危険な選択肢もありえます。
  1. 個人で民間の保険に加入する
  2. COBRA
  3. 無保険者になる?
この COBRA について説明します。

COBRA

コブラは、日本で言うところの任意継続にあたるもので、会社員およびその扶養家族が医療保険の資格を喪失した時に、それを一定期間(退職の場合 18 ヶ月)継続できるというものです。当然、保険料は全額自分で負担することになります(というより 2 %上乗せされることもあります)。そのため、上記 1. の個人で別の保険に入った場合のほうが保険料が安い場合もよくあります。手続きは、資格喪失(退職)後、60 日以内に行う必要があります。
ちなみに、正式名称は、Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act (包括予算調整法)で、1985 年、レーガン大統領の時に連邦議会で可決されました。

適用対象となるライフイベント

COBRA は、退職以外でも対象になりえます。具体的には、会社員および扶養家族が以下の「対象となるライフイベント(Qualifying Events)」によって保険の資格を喪失した時に適用できます。

社員本人については、以下のライフイベントによる保険資格喪失が対象となります。
  • 退職(重大な違法行為による解雇を除く)による資格喪失
  • 勤務時間の減少による資格喪失 
その社員の配偶者については、以下のライフイベントによる保険資格喪失が対象となります。
  • 配偶者である当該社員の退職(重大な違法行為による解雇を除く)による資格喪失 
  • 配偶者である当該社員の勤務時間の減少による資格喪失 
  • 配偶者である当該社員のメディケア(高齢者向け公的医療保険)資格取得による(現保険の)資格喪失
  • 配偶者である当該社員との離婚または法的別居による資格喪失 
  • 配偶者である当該社員の死亡による資格喪失
その社員の子供については、以下のライフイベントによる保険資格喪失が対象となります。
  • 親である当該社員の退職(重大な違法行為による解雇を除く)による資格喪失
  • 親である当該社員の勤務時間の減少による資格喪失
  • 親である当該社員のメディケア(高齢者向け公的医療保険)資格取得による(現保険の)資格喪失
  • 親である当該社員の離婚または法的別居による資格喪失
  • 親である当該社員の死亡による資格喪失
  • 保険プラン上、親である社員の「扶養される子供」ではなくなった時

延長できる期間

どのライフイベントによって資格を喪失したかによって異なります。
  1. 退職または勤務時間減少による場合 : 18 ヶ月。これが一般的でしょう。
  2. 高齢で退職する場合の例外:退職または勤務時間減少による場合で、その資格喪失日(退職日など)の直前 18 ヶ月以内の期間に当該社員がメディケアの資格を取得する場合、配偶者及び扶養家族は、メディケア資格取得の日から 36 ヶ月の日まで延長できます(ただし COBRA の適用は退職日から)*。文章が複雑なのですが、例えば退職の 8 ヶ月前にメディケアの対象となる場合、配偶者と子供の資格は 28 (=36-8) ヶ月延長できます。8 ヶ月は会社の医療保険、28 ヶ月は COBRA で合わせて、メディケアの対象となった日から 36 ヶ月というわけです。
  3. それ以外:36 ヶ月。該当社員の死去や離婚による資格喪失はこれです。
* When the qualifying event is the end of employment or reduction of the employee's hours, and the employee became entitled to Medicare less than 18 months before the qualifying event, COBRA coverage for the employee's spouse and dependents can last until 36 months after the date the employee becomes entitled to Medicare.

従業員数の少ない会社の場合

なお、COBRA は従業員数が 20 人以上の会社に対する合衆国の法律です(Federal COBRA)。20 人未満の会社については、多くの州で州法がカバーしています。例えば、カリフォルニア州には  Cal COBRA、ペンシルバニア州やニューヨーク州には mini-COBRA と呼ばれる同様の州法があります。

2014年7月15日

健康保険の任意継続: 日本で会社を辞めた時

日本で会社を退職した場合の健康保険の手続きについてです。

日本は国民皆保険。会社員ならその会社経由の医療保険(健康保険)、自営業の人は国民健康保険に必ず入ります。
  • 健康保険:会社員。保険料は会社と従業員で半分づつ負担。従業員負担分は給料から天引。
  • 国民健康保険:自営業の人など。保険料は全額自己負担。

任意継続

国民皆保険ですので、退職して他の会社に就職しない場合には、自動的に国民健康保険に加入することになります。しかし「任意継続」といって、一定期間、会社員の時の保険を継続することもできます。社員であるときには、会社が保険料の 50% を負担してくれていましたが、退職後の任意継続については当然全額自分で払うことになります。国民健康保険にするべきか、任意継続にするべきかは、どちらの保険料が安いかで決めるのが一般的でしょう。保険料は、所得、家族構成(扶養者数)から決まってきますので、実際には、以下の手順を踏むことになります。
  1. 住んでいる地域の区役所に電話し、国民健康保険にした場合の保険料を教えてもらう。
  2. 保険組合に電話し、任意継続にした場合の保険料を聞く。こちらの方が安いならそのまま手続き。

任意継続の終了

ところで、面白いのが任意継続を期間満了前に辞める場合の手続き。任意継続の資格喪失には以下の選択肢しかありません。
  1. 他の健康保険等の資格を取得したとき:再就職 / 国保に加入 / 扶養になったなど
  2. 保険料を納付期限までに納付しなかったとき
  3. 死亡した時
組合や対応した人によるかもしれませんが、「海外転出に伴い、しばらく任意継続にした後に、やめたい」と伝えたところ「その場合は保険料を払わず 2. になってください」と言われました。未納で資格喪失というのは、どうも気持ち悪いと伝えたのですが、これしか手続き上の選択肢はないのだそうです。

2014年7月14日

年齢差別に関する法律

雇用に関して年齢差別を禁止する法律は各国に存在します。日本でも「労働者の募集及び採用の際には、原則として年齢を不問とすること」となっています。残念ながら「原則」が幅広く解釈されていたり、JIS 規格の履歴書用紙に未だに生年月日欄があるなど、新卒一括採用と相まって、有効に働いているかは疑問が残るところです。欧米の会社では、応募者に対してレジュメ(経歴書)に生年月日や性別などを書かないように言っています。本当に必要な情報のみで判断をしたいわけで、更にいうと、余計な情報を受け取ってしまうと、後になって「差別された」と言われ兼ねないためです。

ところで、アメリカでの関連法は、The Age Discrimination in Employment Act of 1967 (ADEA) というものです。この連邦法は、人種、宗教、性別、出身国、皮膚の色を理由とする雇用などの差別を禁止する公民権法第 7 編が制定された 1964 年の 3 年後にできました。ずいぶん昔にできたこともあり、2000 年に採択された EU 諸国のものなどとも異なる点があります。大きいのは「40 歳以上の人に対して」と言っている点。若者に対する差別については言及していません。制定された時の目的が、中高齢者の失業対策であったためです。

なお、この連邦法は採用だけでなく、昇進、賃金、解雇、レイオフなど雇用全てに関わります。同じ職務ならば 60 歳でも 20 歳でも賃金は同じですので、年齢給という考え方はありません。一定の年齢に達したことを理由とした解雇はありませんので、アメリカには定年制がありません

2014年7月9日

アメリカの 401(K) について (Traditional / Roth / IRA)

401(K) を導入しているアメリカの会社に入社すると、はじめに 401(K) をどう設定するかを決めなくてはいけません。Roth などという聞きなれない用語も出てくるところなので、まとめてみました。


401(K) とは

401(K) は確定拠出型年金のことで、それに対する制度は確定給付年金です。
  • 確定給付:古典的な企業年金制度。企業が年金を運営し、従業員が老後受け取ります。従業員としては受け取れる年金額があらかじめ補償されているので「給付が確定している」というわけです。会社が倒産したらどうなんるんだという問題があります。JAL が実質的に経営破綻した時に話題になりました。
  • 確定拠出:最近取り入れられてきている制度。年金になるものを現役時代に毎月払込み(拠出)、自分で運用していって将来引き出します。「拠出が確定している」が運用によって老後受け取る「給付額」は確定していないわけです。上手く運営すれば受取額は大きくなりますし、失敗すると減りますが、それも自分の責任です。


マッチング

さてアメリカでは matching という用語が出てきます。これはなんでしょう。
日本版 401(K) には企業型と個人型があり、企業型では会社が全額を拠出します。
  • 企業型:取り入れている会社で働いている時。毎月全額を会社が拠出(=我々の 401K 口座にいれる)してくれます。
  • 個人型:導入している会社をやめた時や自営業の人。毎月自分で拠出(=401K 口座に入れる)していきます。
これに対し、アメリカの確定拠出年金 401(K) は、各個人が毎月いくら拠出(給与から天引きして401K 口座に入れる)するか指定して、これに会社がいくらかをプラス(貢献)して入れてくれます。これをマッチングといいます。例えば会社によって、年間 3,000 ドルまでは 100% マッチングしてくれるといった形です。この場合は、自分が年間 5,000 ドルを自分の 401(K)  口座に拠出するなら、会社は 3,000 ドルを追加で入れてくれます。この金額やパーセンテージが大きければ、社員は嬉しい訳で、会社としては福利厚生のセールスポイントになります。
401(K) にはマッチングの他に、後述するとおり所得税に関するメリットがあります。


年金の種類

さらに制度には、PreTax / Roth 401(K) / Traditional After-Tax といったものがあります。これは何でしょうか。入社時にこれらをどう設定するかを決める必要が出てきます(後でも変えることもできます)。

1. Traditional 401(K)

いわゆる企業型 401(K)。Pre Tax 401(K) とも呼ばれていたりします。401(K) 口座への拠出は給料から天引きによって行われるわけですが、天引きされた残りの給料に対してのみ連邦所得税(Federal Income Tax)がかかるので、社員にとっては所得税が安くなるメリットがあります。将来年金を受け取るときには税金がかかるのですが、一般的な人ならば、その頃には他の収入があまりないので、かかっても多くの所得がある現役時代に課税されるより良いわけです(Tax Deferred といいます)。

2. Roth 401(K)

これは Traditional 401(K) と違い、拠出額を非課税扱いにすることはできません。しかし、将来年金を受け取るときに全額非課税扱いとなります。老後に今よりも収入が多くあるという(羨ましい)人は、先に課税されておいた方が有利なのです。ちなみに Roth は立法に関わった議員の名前です。こちらの場合も会社がマッチングしてくれます。

3. Traditional IRA

IRA は Individual Retirement Agreement の略で、個人の退職年金プランの一つです。401(K) を導入していない企業の人や、自営業の人のためのもの。銀行などでも開設できます。ちなみに一見似ている IRS は Internal Revenue Service で、国税庁のことです。Traditional IRA は、Traditional 401(K) と同様の課税処理の個人型プランです。

4. Roth IRA

こちらは Roth 401(K) と同様の課税処理の個人型版です。


まとめるとこうなります。



拠出時は非課税
老後受取り時に課税
拠出時に課税
老後受取り時は非課税
401(K):導入企業で働いている人
Traditional 401(K)
Roth 401(K)
個人型:非導入企業の人や自営業
Traditional IRA
Roth IRA




Traditional と Roth、どっちを選ぶべき?

結局どの制度にするべきかということなのですが、ざっくり言うとこういうことです。
  • Traditional : 老後には所得がないのでその時に課税された方が得な人。普通のサラリーマンはこっちですよね。
  • Roth : 老後に今以上の所得があるので今のうちに課税されたほうが良い。これって不動産収入とか役員収入とか印税とか?…いわゆる勝ち組でしょう。




そもそもアメリカで年金貯蓄する?

老後をアメリカで過ごすかどうかが、まだわからない人は、給料から 401(K) に拠出してゆくべきかどうか迷うところです。401(K) は 59 歳 6 ヶ月になるまで引き出せず、それより前に引き出す場合には 10% のペナルティを取られますからです。
例えば、年間 3,000 ドルまでは 100% マッチングしてくれる会社の場合。いやらしい計算ですが、年間 3,000 ドル拠出にしておけば、会社がもう 3,000 ドルあなたにくれるわけで、万が一1年後に中途脱退することになって、10% のペナルティ 600 ドルを支払っても 2,400 ドルのプラスになる…と考える人もいます。

2014年7月8日

アメリカの医療保険制度

アメリカの保険医療制度をおさらいしておきましょう。日本は、国民皆保険。会社員なら会社を通じて健康保険、自営業の人などは国民健康保険といった形で、全員が保険に加入し、どの病院にも行くことができます。どこに行ってもかかる医療費は原則同じです。

アメリカは国民皆保険ではありません。オバマ大統領の悲願ですが、反対にあい、うまく進んでいません。民間の保険会社(営利または非営利)への加入者が約 70%、高齢者・障害者むけのメディケアまたは低所得者向けのメディケイドといった連邦政府・州が運営する公的保険への加入者が 25% 程度、そしてどちらの保険にも加入していない人も 10 %以上います。


我々のような一般的な会社員は、会社を通じて民間の保険を契約します。つまり、入社時から一ヶ月くらいの間に、どの保険会社のどのタイプの保険にするかを選ばなくてはいけません。年に一回再選択するタイミングがあり、それまでは変えられません。

これがまた、マネジドケアといわれる、医療の質を確保しながら、不必要な医療コストを抑制することを目的とするといういかにも市場原理主義的な手法のために、複雑です。特に、他の国から来た人にとっては難しい選択です。


HMO と PPO

医療保険はいくつかのタイプに分類できますが、大きなものが、HMO と PPO です。

HMO (Health Maintenance Organization) は、保険会社サイド主導で登場したもので、まずは「かかりつけ医」に行った上で、保険会社からもらっているリストに載っている医院でのみ診てもらうことができるというものです。これを「In-network」とか「ネットワーク内の」医療機関といいます。実は専門的な治療になればなるほど、その医療機関のネットワークへの加盟率が低くなっており、最新医療などが受けられない場合や、複雑な治療について、主治医の許可が必要なために実際に治療が受けられるまでに時間がかかったりもします。良い点は自己負担額が少ない点で、たいてい 10 ドル程度払うだけで済みます。

PPO (Preferred Provider Organization) は、HMO に対抗して医療機関主導で生まれたもので、追加料金を払えば、ネットワーク外の病院に行っても、受け入れてもらえます。しかし、多くの場合、医療機関で支払う医療費は多めになります。

さて、HMO の専門治療が受けられない場合があるという問題は、近年訴訟によって改善されてきました。ところが、逆に訴訟費が HMO の財政を圧迫し、それが保険料にはね帰ってきました。つまり保険料が高騰し、PPO と変わらなかったり、むしろ高くなったりしているのです。保険料の安い HMO のはずがもうわけがわかりません。

さらに、市場ニーズに答えて他のタイプも生まれています。例えば、POS(Point-of-service plan)。これは、HMO のオプション的位置づけで、かかりつけ医には行かなくてはいけませんが、追加料金を払うことで、ネットワーク外の医療機関も利用できます。また、EPO(Exclusive Provider Organization)は、かかりつけ医には行かなくても良いですが、それ以外は HMO と同様というものです。


同僚いわく、一般的に特に子供がいる家族などは、PPO の方が良いと思っているそうです。なぜなら、その子が特定の病気を持っているなら、それに対する一番良い病院で看てもらいたいからです。

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